8月11日の日報 白衣のカノジョは笑わない

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼いたします。

今日は夕方に健康診断でして、近くの病院に行きました。
いちばん初めに「ではこちらで」と尿検査用の紙コップをもらった時、
「やってもうた」
と私は顔面蒼白になった。

というのも、
尿検査のことをもっこり忘れて、仕事場を出る直前にお手洗いに行ってしまっていたのです。

すみません、ちょっと今は出そうにないので……
と、小さな声で伝えると、採尿は最後に回してくれることに。

ところが、その他もろもろの検査なんてアッという間に終わってしまった。
「先生、先生、ちゃんと診てますか、それ、ほんとにちゃんと診てくれてますか」
ガチ心配になるほどテンポ良い検査を終えたとはいえ、もちろんそんなスグに尿意を催すことは無いのであります。
なので、しょうがないからと待合室で待つことに。
平日の夕方だからか他に患者はおらず、受付の看護婦さんと私だけの静かな空間。
たゆたう『気まずさ』。白いもやのような時間にじわじわと冒される息苦しさは筆舌に尽くし難い。

しかも、そういう時に限って看護婦さんが若い娘なのです。
木村カエラみたいなショートカットの。

想像してみてください、木村カエラに自分のおしっこを待ってもらわなくてはいけないシチュエーション。
まさしく針の筵。
まぁある特定の人々はそこに光り輝く何かを見いだして恍惚となれる能力をお持ちかもしれません。
しかし生憎私はその類希なるアビリティを持ち合わせてはいなかった。

椅子に座って壁の医療関連のポスターを眺めつつ、
「我れが命じる、尿意よ今こそ来れ!」
と召還獣コマンドを念じ続けるわけですが、ちっともその気配がない。
別の看護婦さんが見かねてお水を持ってきてくれましたが、あまり量が多くなく、飲み切ったところでそんなに効果は無さそう。
「もう一杯、いただけますか」
と尋ねようとも思いましたが、私にだってプライドがある。
ここまで来たら自分の力でおしっこしてやろうではないか。

……と待つこと実に30分弱。
「(早くしろよこの小便野郎)」
だんだんとカエラがイラついている様に思えてきた私は、冷たい視線から逃れるかのように雑誌ラックに手を出したのであった。
『月刊ポメラニアン』みたいなポメラニアンのことばっかり書いてあるモノ凄い雑誌が目に留まったので、
「俺ってポメ好きなんだよな〜」
と優しい男性をアピールできる良いチャンスと手に取ったのですが、いやぁ、これがほんとにモノ凄い雑誌でして、気が付いたら夢中でポメ雑誌を読み貪ってました。

「犬は柴犬派であるが、ポメもなかなかどうして悪くない」
と、ポメ雑誌を食い入るように読んでいると、あれ? あれあれ? 遂にじわっとキましたよ。
「!」
私はポメ雑誌を閉じてラックに戻し、スクッと立ち上がると、毅然とした足取りでカエラの元へ。

「そろそろ、よさそうです」

なにがどういいのか分かりませんが、こんな時に自分の尿意を若い女性にどう伝えるべきなのか、日本の学校では教えてくれないじゃないですか。
「そろそろ、よさそうです」と魂から声をしぼり出した私に、カエラ嬢は「あ、はーい」とカップを手渡してくれました。
意外と怒ってないっぽくてホッとした私は、そのホッのおかげもあってすんなりと用を足せたのです。

お手洗いから出てきた私に
「今日はこれで終わりですので」
と真っ先にカエラ
こっちから「なに、ここに来る前にトイレを済ませてしまいましてね〜」などと言い訳しようと思っていた矢先に先制でジャブ打ってきた彼女。やっぱり怒ってたのだろうか?
私は消えるような声で「ありがとうございました」とつぶやき、逃げるように立ち去ったのであった。
結局、彼女が笑顔を見せることは一度もなかった。


検診の最中に体重計に乗って、あまりにもダイエットの効果が出ていないことに腹を立てた私は、帰りにいちごポッキーを買って帰って、
「一気に3本食い!」
とかやりました。

それでは明日もよろしくお願い致します。



申し訳ないことにまた先週金曜日の日報をサボりましたが、言い訳させていただくと、金曜夜から昨日(日曜)の夜まで、ほんとうにPCの前に座る時間が無いくらい詰まっておりました。
でも、大きなイベントを終えたのでやっと元の生活に戻れそうです。