4月22日の日報 微睡みの森

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼いたします。

今日、こんなニュースが。

福岡の中学校で一斉に「昼寝の時間」

筑前町の夜須中学校では去年、生徒にアンケートを行ったところ、3割以上が「睡眠が十分ではない」と回答しました。
中学校では、生徒の心身の成長を促すとともに午後の授業への集中力を高め学力向上を目指そうと今年度から「午睡」、つまり昼寝を一斉に行う時間を設けました。
対象はすべての生徒と教職員で、毎週月曜日と水曜日に、昼休みが終わったあとの午後1時50分から10分間昼寝をします。

1.
私は泣く子も黙る昼寝絶対主義者、ヒルネスタでして、昼寝推奨タカ派です。
私自身、仕事場でも「眠くなったらすぐバタリ」をモットーとしてグーグー寝ます。

なので、
この中学校のように「昼寝しよう!」という運動は実にウェルカム。
そもそも日本では「昼寝=悪」という意識がセットされているように思います。
「昼寝するとはけしからん、働け」と。
いやいや、待て。待て待てい。
私は声を大にしていいたい。
「えっちらおっちら頭で舟漕いでる奴に仕事をさせたところで大した効率を得られるわけがない、むしろミスの温床である! 我々に寝させろ!(グー!!←聴衆による賛成のいびきコール)」

この学校で昼寝を日常のものとした生徒たちが将来社会へ羽ばたいた暁には、新卒だろうが管理職だろうが周囲にお構いなしでバッタンバッタン寝まくるであろう。
そうして仕事の効率があがり、生産性も増し、給料据え置きで残業も減れば、消費も促進、少子化も止まって……うわああ、日本の未来は昼寝にかかっているよぉおお!!
「昼寝なしに我が国の発展はない、三年寝太郎マジリスペクト!!」

どうです、それでもまだあなたは昼寝を我慢するのですか?


2.
そんなヒルネスタの私ですが、
しかし、夜須中学校の昼寝制度について若干危惧している点もあります。
なぜなら、私が昼寝の際に最も気を付けている「寝る時間」と「寝る場所」について、十分な環境であるとは言い難いからです。

時間については、よく昼寝に関する話題でも触れられているように「寝過ぎ」は良くないので、15分〜20分にしています。
個人的にはこの時間がベストでした。
夜須中学校は10分。
もうちょっと長くてもいいのではないかしらん。

そして場所。
まず昼寝における「場所」の重要性についてお話しなければなりません。


3.
社会人の人が
「もーダメだ!」
と昼寝に入る際は、仕事机に突っ伏して寝る人が大多数かと思いますが、質のよい睡眠をとるにはデスクはあまりよろしくない。

あの、両腕でガードしながらガラスに突っ込むアクション俳優ばりの姿勢、通称『ダイハードクラッシュ』(※私が命名)も今ひとつリラックスできません。
周りは普通に起きている=騒音が耳障りですし、なにより人の気配があるので昼寝に集中できません。
(逆に、アイマスクがあるといい具合に「落ち」れますが、これは外界との意識の遮断に一役買っているかと)

一番良いのは静かで、1人っきりの環境。
さらに、身体を伸ばせるだけのスペース。
……となれば仮眠室が想定されますが、しかしそんなスペースを用意している職場はそう多くはありません。

以前の職場では、私はしょっちゅうデスクの下に潜り込んだり、オフィスの隅にあったダンボールを床に並べその中に入り込んで他スタッフが「なにこのダンボー……ひぃっ!」と悲鳴をあげたりしたものです。

今の仕事場では、去年まで部屋の隅にある死角スペース(人ひとり分)にピッタリ収まって寝てました。
しかし人数が増えスペースは閉鎖。今は泣く泣くマイデスクに突っ伏して寝ているのです。なんてひどい会社だ。

そんなわけですから、この中学校のように
「教室全員でダイハードクラッシュ」
という中で、生徒たちが良質の睡眠をとれるかどうか、心配ではあります。


4.
そもそも、
「対象はすべての生徒と教職員」というのはなかなかチャレンジです。
その間、中学校めっちゃシーンてなりますからね。

それに、
「みんなで一斉に寝ますよ、っせーの」
で寝れるかといったら、そうはいかない。
なんせ相手は思春期真っ盛り。
「ネタかますチャンス!」とクラスのおちゃらけ役が「プ〜」とおならキメる可能性が極めて高い。
生徒「(クスクス)」「今の誰だよ〜」
先生「こら、静かに寝なさい!」

また、
机に突っ伏しながら小声で
「(◎◎ちゃん、寝た?)」
「(ううん)」
「(今日帰りにミスド寄ってかない?)」
みたいなトークが繰り広げられるかもしれない。

もしくは、
クラスの中でも妙にクールな存在として浮いている女子は、みんなが机に突っ伏している間、ひとりだけ静かに身体を起こし、頬杖をついてぼうっとしているかもしれない。
「(ほんと、バカバカしいな)」
みんなで昼寝だなんて、幼稚園じゃあるまいし…。
ふと視線を感じて振り返ると
男子の△△君が慌てて顔を腕のなかに引っ込めるのがちらっと見えた。
「(好きなら好きって言ってくればいいのに)」
あくまでクールな彼女は、彼の奥手なところに辟易としながらまた宙を見やるけど、でも少しだけ
3列右の気配が気になる。
「(ま、きらいじゃないけど)」


「(うぅ……昨日は『伊藤日報』っていうわけわかんないブログを見つけて、だけど不思議と過去まで遡って一気読みしちゃったから全然寝れなかった。フットサルの回はおもしろかったわ〜。だから今日めっちゃ眠いし、今のうちに寝ないといけないんだけど、そんないきなり寝ろと言われても寝れるわけないもんな〜、やべ〜10分経っちゃうよ、早く寝ないと! 早く寝ないと! ………お? おお? 眠くなってきましたよ? 今、階段踏み外したみたいにガクッときたよ、よっしゃキタキター寝るぞ〜、昼間の睡眠は夜間のそれと比べて何十倍も効果が得ら」
先生「はい、みんな起きてー」
「!!?」


5.
静まり返った教室にもこもこと並ぶ、丸まった生徒たちの背中。
まるで『ナウシカ』に出てくる広大な腐海を空から俯瞰したかのよう。

なるほど、そう考えるとこの「中学校全員昼寝制度」には、寝ること以外の面白みも隠れていそうです。
巨大な樹の下で交わされるさまざまな営みは、それ即ち中学生たちの「ひそひそ思春期」である。
この瑞々しく繰り広げられる日常の小さなドラマたちの積み重ねが、彼らの青春そのものである。

昼寝もそこそこに、彼らの有り余った情熱の青春は、微睡む昼下がりに机以下の空域で熱を帯びるのであった。


いや待て、ちゃんと昼寝しましょう、寝れば午後がさらに輝きだす☆

それでは明日もよろしくお願いいたしまグー

お昼寝のための音楽

お昼寝のための音楽

(昼寝グッズについては、私にも確固たるビジネスアイデアがある。いつかそれを披露したいところです)