12月24日の日報 聖夜特急

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼いたします。

今宵、世間は例のアレでMAX盛り上がっておりますが、平日開催ということもあってか、チト熱量が足りない気もします。
24日の夜が週末と被ってた数年前は、それこそSNSに貼り付いて「Xデー来る! グランドクロスグランドクロス!」と声高々に叫んでは世の男子女子どもを茶化しまくることに一日の全スタミナを注いでいたものです。

さて、そんな年に一度のアレな夜ではありますが、同時に私には、毎年25日が午前0時をまわってからの、とある『趣味』があります。
それはラジオを聴くことです。
沢木耕太郎さんという作家の方が、毎年12月24日の深夜にだけパーソナリティを務める番組、『沢木耕太郎〜MIDNIGHT EXPRESS 天涯へ』。

沢木氏は私にとって冗談抜きで「人生を変えられた」人であり、とても大きな存在です。彼の著書の大ファンではありますが、ただ一言でファンですとはいえない何か複雑なものを覚える対象なのです。

そんな彼はあまりメディアに登場することのない作家だけに、彼の肉声とアドリブのトークを堪能できるこの番組だけは、一年に一度のレアな機会。
それだけに、毎年冬になると「今年もやるのかな〜」と頭の片隅で気になりはじめ、12月上旬になってWEBサイトが更新されてるのを確認すると「よっしゃ!」とグーでグッとします。
そして24日までサイトで更新される沢木氏のミニコラムを、じっくりと読んで過ごします。

そして、今夜。
今まさに、その番組が放送されているのです。

ですが、私は番組を聴いていません。
録音しておりますが、聴いてはいないのです。

番組が始まる0時前には必ず自宅のMacの前で録音準備を整え、番組が終わる午前3時までの間、番組を聴かないままなんともなしに時間を過ごします。
たまに気になって聴いたりしますが、すぐハッとイヤホンを外します。
なぜでしょうか。自分でも「変なの」と呆れます。

私はこの大事な番組を、なぜかLIVEで聴くことを避けます。
そして、明日、仕事中だったり帰宅してからだったりに、録音した放送を聴くのが楽しみでしょうがないのです。
なんだか暗い子みたいですが、『MIDNIGHT EXPRESS』を数年前から聴き始めて以来、ずっとこれが私のこの番組の楽しみ方なのです。

もちろん生で聴いてもよいのですが、きっと無意識にこの番組の録音ファイルを、「自分へのクリスマスプレゼント」にしようとしてるのかもしれません。(書きながら自分でもちょっと引きますが)
あの「25日の朝の高揚感」という子供ながらの原体験は、なかなか癖になりますな。大人になってもやめられません。
私は今、明日の自分へのプレゼントがちゃんと録音できているかどうか、随時チェックする『門番』をしているのです。

というわけで、
現在、番組を録音するアプリの音量ゲージが動いているのをちょくちょく確認しながら、1年間ずっと楽しみに待っていたラジオ番組の『終わり』を、盛る世間から遠く離れた部屋で、コーヒーを飲みながら静かに待っているのでした。

それでは明日もよろしくお願いいたします。