2月6日 お茶 の巻

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼致します。

今朝は雪がふわふわ舞っていたので、自転車ではなく徒歩でとぼとぼ仕事場へ向かった。

びちゃびちゃと路上で行き場を失くしているふぞれたちを踏みつけて歩いている中で、
「『おーいお茶』ってどういうテンションで発声するべきなのか」
について思案してみる。

本家のTVCMでも数パターンあるけれど、
「お〜い、おちゃ」
と、どれも牧歌的な雰囲気に終始しており、しかしまぁ実際それが正解と思う。
商品がお茶という日本の伝統的なほっこりドリンクであるのだから、このほっこりブランディングはいたって王道だ、と。

しかし、自分なりに考えてみると、
「おーい」と言っているところからして、そこに誰か相手がいる前提で考えたとしよう。
その相手との物理的距離はどれくらいか、
その相手とはどういう関係か、
そもそも自分はどういう属性か、
……なども事前に考慮してみると、『おーいお茶』は実に様々な可能性が秘められた不思議キーワードであることに気付く。

例えば、
「ぉおおおおおおお〜い、お茶ー!」
かなり遠いところにいる人を呼んでいる
と思わせて田中邦衛だ。
いや、事実、彼がCMをやっているのを見てみたくなった。


「おいン、お茶ン」
語尾に「ん」を加えるだけで、一気に枯葉舞う秋のパリの香りが強まるから不思議だな。
街の一角にあるサロンで、口角泡を飛ばしながら熱い議論を繰り広げる哲学者が、喉が乾いたとウェイターを呼ぶ時もきっとこうだろうと思う。
「おいン、お茶ン」
少し切なく言うのがポイントかな。


「おーい、お……おwww、お茶www」
自分でも何故だかわからずに、話している途中でおもしろ可笑しくなってしまうことが、誰にでもあるだろう?
(具体的なベンチマークとしては、チュートリアルの徳田)
ここでは「お茶」と言おうとした刹那、
「え、お茶? 俺、お茶欲しいんか笑」
と自分で自分に拍子抜けしてしまったところで「お茶」の発声がなし崩しになってしまったパターン。


「おーい、お茶、さん」
なんと、お茶を擬人化してしまったわけだ。
向こうにいた相手は「私じゃないんかい」とズッコけると同時に、
「なになに、え、先輩?」
と、俺とお茶との過去に想像を巡らせるかもしれない。
「お茶」と「さん」の間を空ければ空けるほど、
つい間違えて先輩を呼び捨てにしてしまった感を強調できる。


「おーい」
正直、かなり斬新だと自分を褒めてあげたい。
なんといっても、対象がないのだから。
誰しもが
「……なんだよ!」
「言えよ!」
とウズウズすること請け合い。文章を締めないだけでこうも他人の感情のコントロールが容易くなるのかと、新しい発見をした冬の朝であった。


「おーい、お○(ピー)」
これもまた、相手にあれやこれやと夢想の余地を与えるいたずらなスキルである。
「おいーい、お」までは全く普通を装って発声するが、「ピー!」のところで顔面の全てのパーツを上方向へ持っていくテンション激上げ感覚で「ピー!」と奇声を発するのも、ギャップがあっていいと思う。


「おい、お茶」
少しぶっきらぼうに言ってみる。
これは、リビングで寝っ転がりながらポテチをほうばり、くだらないトレンディドラマを見ている架空の妹へ向かって「お茶をとってくれ」と言う場面を想定している。
敢えて突慳貪に言うのは、己の心情を相手に悟られたくないからである。
しかし私の心の内をなにも知らない妹は、近くのペットボトルを私に手渡してくれる。
「はい、お兄ちゃん☆」
俺は顔が真っ赤になっていくのを感じている。


「おい、お茶。……お茶//////」
「え?」
「その、お茶、飲ませてくれないか?」
「俺のお茶? いいけど…?」
「喉が渇いてしまって」
「はぁ」
「す、すまん(ゴクッゴクッ)」
「(じ〜)」
「プハ、おいし(小さい声で)」
「クスッ」
「な、なんだ!?」
「いや、○○さんも可愛いところあるな、って」
「ば、馬鹿を言うな!焦(@o@)焦 仕方ないからオマエのお茶を、の、飲んでやったんじゃないか!」
「だって、これ、関節キッスですよ」
「!!!!!!(ッカァ〜)」


「おい…お茶? お茶? お…お…お茶ーっ!!」
俺を庇って凶弾に倒れた相棒は、最後の一服を楽しんだあと、微笑みながら逝っちまったんだ。
馬鹿野郎、あの娘のことはどうすんだよ、お前がいなきゃ俺はどうすればいいんだよ!


「フォアー! ホワチャァッ!」
推して知るべし、ブルース・リーの映画を観た夜はきっとこうなる。日本男児なら誰しもだ。
ただしこの場合、日本茶でいいのかと野次が飛んでくるかもしれない。その時も「ホワッ!?」と振り向くんだ。


……そうこうしているうちに、仕事場についた。
仕事場で毎朝はじめに欠かさないこと、
それはブラックのコーヒーを淹れることさ。

それでは明日も宜しくお願いいたします。

[2CS]伊藤園 おーいお茶 緑茶 (2L×6本)×2箱

[2CS]伊藤園 おーいお茶 緑茶 (2L×6本)×2箱