8月15日の日報

お疲れ様です。極右の伊藤です。
本日はこれにて失礼致します。

夏というのは、
「海! 山! ドライブ! ビール!アバンギャルド! ギャル! お団子ヘアのギャル! お団子ーっ!!」
という、まさに快哉を叫ぶにふさわしい賑やか且つ楽しい季節ではありますが、
我々日本人にとっては、先祖様をお迎えし、先の大戦で命を落とした方々の冥福を祈るなど慎ましやかな季節でもあります。
かなり両極端なのですけども。

その慎ましやかサイドの代表格ともいえる終戦記念日が、8月15日の今日でした。
この日の靖国というのは毎年必ず話題になりますね、政治家による参拝するしない問題、そして右翼左翼の大きなデモとか。
物々しい映像ばかりがニュースに取り上げられるものですから、まるで靖国神社が一般人立入禁止の修羅場と化しているかのように思えるかもしれませんが、実はそんなことはないと今日知りました。

私は夕方に仕事をひょいっと抜け出し、靖国神社へ行って来ました。
地下鉄に20分揺られて九段下に着いたら、まず目につくのが機動隊と警官たち。なんだか物騒です。
そこから靖国神社へ歩いていく道中も、路上で様々な人たちが色々な主張を大声でアジっています。
ところが神社へ近づくに連れて、そういった活動家たちは少なくなっていき、境内が見える頃には路上は参拝に来た一般人がほとんど(全身軍服の人もちらほらいますが)。
私が訪れたのは17時半くらいなので、活動家のほとんども既に退散していたかもしれませんが、とはいえここから先が本当の『8.15の靖国』なのである。

例えば、どんな人が参拝に来るのかといえば、これがまた面白いもので、
文章にうまく書けないくらい普通な人たち(どちらかというと男子多め)も然り、
おじいちゃん&おばあちゃんは鉄板、
赤ちゃんを連れた若い夫婦、
ひ弱そうな大学生メンズ軍団、
アート好きそうな個性派女子、
…と思いきや、アパレル店員並なお洒落メンズ with グラサンだったり、
カメラ重装備の外国人、
さらには何故か浴衣カップルや、
タトゥー入ったギャルとギャル男、
いかにも就活中な若い女子5人組もいました。
どうみても「これから出勤」なキャバ嬢らしきギャルがひとりで参拝しに来ていたのを見た時は胸がドキドキ。
言葉は悪いですが、
「こんな人も来るの!?」
と驚いたと同時に、そんな彼らをしてその足を靖国へと向かわせる8月15日の強いパワーを実感します。
私が参拝し終わったのが丁度18時で、駅へ帰る時は向こうから大勢のスーツ姿のサラリーマンたちとすれ違いました。「仕事あがりのひと参拝」というわけです。

この季節になると「待ってました」と言わんばかりに沸き起こる様々な議論を、
これまた「待ってました」と散々読んだ上で、
しかしこの靖国にしずしずと参拝しに訪れる無言の群衆を見ると、
そんな議論たちは右翼左翼のアジテーションと共に彼岸の向こうへ追いやられてしまいます。
何も言えない、というか、何も言う必要がない、というか。
こういう姿を垣間みて
「日本人はほんとうに不器用だな〜」
と、つくづく思い知らされます。
不器用ですよ、ほんともう。愛おしい程に。
高倉健かっつーの。
不器用な方がモテるしな、男女ともに。

そんな不器用な皆さんと肩を並べて、ここに祀られている私の祖父に
「ちょっと聞いてよ、お母ちゃんがリンスとシャンプーの区別もつかなくてさ」
と、いそいそと参拝を終えて来たのでございました。

それにしても今日の夕方は、涼しい風が神社をさらさらと吹き抜け、遠くの夕日も綺麗に空に映えており、それはそれは美しい時間でした。
参拝の列に並びながら
「67年前のこの日、玉音放送から少し経ったこの時間を、当時のみんなはどんな想いで過ごしたのかな、そしてどんな夕方だったのかな〜」
と考えておりました。
とはいえ、極東に起きた人間による人間のための人間の事情なぞ一切関係なしに、今日のように容赦なく穏やかな、いつもの夕暮れだったのでしょう。

それでは明日も宜しくお願い致します。