7月27日の日報

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼致します。

いよいよ今夜、ロンドン五輪が開幕します。
発表当初は全世界から批判されまくったあのオリジナルロゴも、開催前夜になるとなぜか煌煌とそり立つ勇ましいデザインに見えてくるから不思議です。
ついでに言えば、
これまたブーイングの嵐となったマスコットキャラ、一つ目君(名前知らない)でさえ
「大会期間中はよろしくな!」
と心強いパートナーに思えてくる五輪マジック。
きっと出川でさえイケメンに見えること間違いなしの「なんでも1.5倍効果」によって、世界が魔法にかかる2週間なのです。

さて、オリンピックというのは元来アマチュア選手による大会でした。
スポーツの祭典において金銭を目的としてはいけない、というポリシーのもとに長くアマチュアのための大会ではありましたが、やはり時代の流れもあって商業的成功が大会持続のための不可欠要素となり、サマランチ氏の会長就任後にプロの参加を認める風潮は加速、'84のサラエボ五輪で初めてプロ選手の参加が(一部ではあったものの)認められました。
とはいえ、
"オリンピック憲章 規則40"には参加条件として
『競技者のオリンピック競技大会への登録や参加は、いかなる金銭的報酬を条件としてもならない』
と書かれており、報酬が条件である「プロ」としての意識は完全に捨て去るよう選手に求めています。

ところで、先日こんな記事を見つけました。

日経新聞ロンドン五輪特集
『五輪で「アメリカンドリーム」をつかむのは… 』
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO44045190T20C12A7000000/

アメリカの現状を基に"オリンピックで食っていけるのか"について書かれた記事で、なかなか興味深いです。
記事から引用すると、

コーチ代、トレーナー代、遠征費、トレーニング施設利用料……。日本でもそうだが、米国でもトップ選手になると年間6桁(10万ドル)のお金が競技にかかるとされる。それをスポンサー収入やレースの賞金などでカバーする。

米国の陸連の調査では、各種目のトップ10選手の半分は1万5000ドル程度を稼いでいるらしい。
ちなみに大リーガーの最低保証年俸は48万ドル。移動、トレーニング施設は球団持ちだし、個人で雇わなければコーチ、トレーナー代もいらない。

五輪競技の場合、トップクラスになれば国の代表として派遣される機会も多く、競技連盟が遠征費、トレーニング代の補助をしてくれるのでかなり楽になる。
しかし、フェルプスやロクテ、陸上ならウサイン・ボルト(ジャマイカ)のようなビッグマネーをつかめる選手はまれ。基本的に選手は大リーガーやNBA選手のようなセレブ生活からはほど遠い。

とあり、オリンピックがアスリートにもたらす金銭的保証というのは実に低いものなのです。

さらにそこに『4年間』のギャップという要素が加わると、五輪そのものの華々しさの裏に満ちる現実の苛酷さが際立ちます。
時間って色々奪っていくものじゃないですか。だから選手たちは五輪出場を考えるときに絶対に悩むと思うんですよね。色々なものを天秤にかけて、実に多くのものを捨ててロンドンへ来ているんじゃないかな〜。

彼らを金メダルの渇望へと動かすものは様々でしょうが、メダルが将来を豊かにしてくれるわけがないと分かり切った上で、少なくともそれはお金以外のなにかであり、名誉とかプライドみたいな「意地」だったりするのかもしれません。

世界一を決めるスポーツ大会は他にも数あれど、一種異様なオーラ(悲壮感w)を纏ったアスリートが各国から集結する大会もそうないですね。
でもだからこそ、何ものにも代え難い=お金で買えない世界を目指す彼らは儚くて美しい!

悩める求道者たるアスリートたちの一喜一憂強化週間こと、ロンドンオリンピック
彼らの精一杯の「意地の張り合い」を楽しみたいと思います。

世界がまた変わるかな!(=記録新)

それでは来週も宜しくお願い致します。