2月9日の日報 粘つく根性

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼いたします。

今夜は後楽園ホールにてボクシングの試合を観戦してきました。
お目当てはトリの試合だったのですが、個人的なハイライトはその前々に行なわれた試合、8回戦ボーイによるマッチでした。

開始早々、赤が果敢に攻めまくり、青は防戦一方。
ところが、果たしてそれを狙っていたのか、2Rで青がカウンターをキメると赤はふらついてしまい、そこから青が猛攻開始。
フルボッコというのはまさにこのこと、という勢いで
「あ〜、こりゃレフェリー止めるな」
と思ったのですが、なんとかトドメを刺されずにラウンド終了。
この時点で赤の顔は腫れて身体中紅潮しているのに対し、青はまだ余裕が見える。
「こりゃまたラッシュかけられてKOかな……」

しかし、3Rが始まってリング中央に互いが歩み寄ってきた時、
「おや」
と私は思ったのでした。
それは、さっきのフルボッコ瞬獄殺を喰らったにも関わらず、それを耐え抜いたからか、赤の表情がさっきと違う……なんというか、妙な自信が感じられたからです。

しかし最初は威勢のいい赤もすぐに青のペースに巻き込まれてしまう。
次第に足もとまり、ボディやアッパーをスパーン!と決められる始末。
(何度も顔が直角に上を向いてました)


……なのですが、赤は倒れない。
フラつきながら青にスパンスパンやられてる最中も咄嗟に、そして必死の一撃を返す。
その一撃は虚しく宙を切りますが、しかしファイトの意思は強く感じられます。

見ているこちらも
「あーもうダメだ」
「うわ、入ったな、もうダメだ」
と何度も思ったのですが、それでも赤は倒れずに、その後6ラウンドまで試合は続く。
ここまで粘られると、段々こちらも「こりゃひょっとしたらひょっとするんじゃないか……?」という想いが、ちょ〜っとだけ頭をもたげてくるわけです。

そして、
なんと赤が勝つんですね。

優勢に試合をリードしてきた青も疲労が出てきて、お互いに動きのキレがなくなってきた時(といっても、赤は既にボコボコにされているのでキレはありませんでしたが)、しかし次の刹那に赤の一発が青の顔面に入った。
相手の足がもつれ、ガードが緩む。
赤ももう限界状態でしたが、しかし最後のチャンスとそこから猛烈に打ち込む。
めちゃくちゃとも言える乱打の数発が、青の顔面にバン、バン、ババンと綺麗に入り、誰もが「おい止めろ」と思った瞬間、レフェリーが両手を大きく振りながら2人に割り込んだのです。

咆哮を挙げてリングをうろうろする赤、
駆けつけたセコンドに囲まれながら起き上がれない青。
割れんばかりの喝采でホールが揺れておりました。


……こういう展開、ボクシングではよくある話なのかもしれませんが、まだ観戦2回目の私にとってはめちゃくちゃ衝撃的で、なんかわかんないけど涙目になっていたという。

諦めない強さ、みたいなカッコイイ話ではなく、
あの3ラウンド目で感じた「さっきので倒れなかった俺はもう勝てる」と確信したかのような狂気じみた赤のオーラ、
勝ち負けの世界の深淵にある残酷さを目前で体験したから泣いたのかもしれません。
感動と一緒に、怖いとさえ思いましたから。

その後のベテラン勢による試合と比べると、彼らの試合はお世辞にも競技レベルが高かったとは言えないかもしれません。
未熟ゆえの殴り合いに発展しがちで、ボクシングとして美しくなかったとしても、でも勢いが身体より先にいっちゃってる人の戦いは胸熱くする何かがありました。

とてもいい試合を見せてもらえました。
赤も青も、ナイスファイトだった。

肝心のお目当てのメイン試合は、
私が応援している選手が判定勝ちで防衛成功しました。
なかなかクセになります、ボクシング観戦。

それでは明日もよろしくお願いいたします。