12月12日の日報 トモダチ

お疲れ様です。伊藤です。
昨日はドタバタしておりまして、日報を遅れて提出いたします。

そのドタバタの理由が、「同業種交流会」というものに参加していたためでした。

交流会。
その響きはさも煌びやかであります。
イメージはさながら「選ばれし天空の民が、紺碧の空に浮かぶ優雅な庭園にて集う会」。
しかしそれは、見事交流に成功した者だけが辿り着ける世界。
ひとたび交流に失敗でもしようものなら、会場の隅で酒を片手に2時間くらいずーっとスマホ
FacebookTwitter→LINE→はてなブックマークFacebook(以下繰り返し)』
を巡るだけという、「終わりのないのが終わり」状態に成り果ててしまう恐怖の世界でもあるのです。
参加する者にしてみたら
「俺は、私は、果たして交流できるのだろうか」
と、不安で夜も眠れないほどである。

今回の交流会は同じタイプの仕事に従事する人々が集まるので(異業種ではない)、初対面での会話においてもとっかかりは持ちやすい方です。
とはいえ、
いきなり
「こんにちはーwww」
と視界の横から割って入れるほどアグレッシブな人間は、決して多くはない。

かくいう私は、
人生においてもあまり交流会に参加したことがないため、それこそ緊張ガックガクです。
どれくらい緊張していたかというと、受付で超緊張してしまって思わず参加費の領収書もらうの忘れたくらいです。
領収書もらうのを忘れたことに気付きもしないまま、ガックガクのドッキドキでブッルブルに会場に到着した私は、しかし恐怖のあまりとりあえずトイレに入ってしまった。別にトイレ行きたくないのに。
莫迦馬鹿バカ!」
トイレの鏡に映る伊藤にむかって叱咤したのち己を鼓舞した私は、大きく息を吸って会場へと足を踏み入れました。

ところがどっこい、
偶然にも前職の同僚が参加しており、「どうもどうも」とすぐに合流。
内心「危ねー!」とガッツポーズ。
交流会がスタートしてからしばらくは、彼女と行動と共にしておりました。

ふたりでポケっと突っ立っていると、チラホラと
「名刺を頂戴してもいいですかぁ?」
と優しげな人々に声をかけてもらえるのです。
「もひろん!」
嗚呼、私のことを認識してくれる人が存在するこの素晴らしき世界。
喜び絶好調で名刺交換をし、どんな仕事をしているのか等を楽しく話していると、また別の人からも声をかけてもらえる。
「人と人とのつながり。これが、交流(うるっ)」

昔は地元で「人見知りラグナロク」とまで呼ばれるほど(嘘)初対面では暗い私でした。
知り合って間もない人に明るく振る舞うことに苦手を感じていた私も、しかし「名刺交換」というクッションを得ると、それだけでだいぶスムーズに会話ができるではないですか。
相手も「こういうところに来るのは初めてなんです」という人が多く、私の緊張もだいぶ解けました。

が、
イベントも後半に差し掛かり、こいつは順風満帆に進んでおるわい、と安心した矢先。
エアポケットと呼ぶにふわさしい程に、突然、ぱったりと、なんの前触れもなく、
一人ぼっちになってしまったのです。
ぼっち。
「あれ?」
と思った時には遅かった。
先程まで話していた人たちは、私にしてくれたのと同じ感じで違う人たちと名刺を交換していく。
同僚の彼女も、気付けば別テーブルで別の人と楽しそうにトークしているではないか。
当然です、彼らはより多くの人との交流が目的ですから、どんどんと相手を移っていかなくてはならない。
しかし完全に受け身だった私は、名刺交換してくれる相手が居ないと何もできない男であった。
「しくじった!」
パズルのピースがはまるかの様に皆が互いに呼応しあう中で、私ただ一人がどこにも行く場所がない。

会場を見渡すと、みんな2〜4人のグループを形成し、ワイワイと賑やかです。
会がスタートした直後の、互いに様子を見合うあの固い空気がまるで嘘のよう。
皆が打ち解け合い、ひとつのイベントとして見事に成立したこの空間において、私だけ時が止まっている。
「(みんな、僕はここにいるよ)」

そこから私は、
トイレ行って、
ノベルティを物色して、
飲み物をひたすら飲み、
またトイレ行って、
会場から見渡せる東京の夜景を堪能し、
極めつけは外注先のビジネスパートナーに用もなく電話して「仕事に追われる私」をアピール。
一人っ子スキルを遺憾なく発揮することで、寂しそうな印象を持たれないことに務めました。
同時に、
毅然たる態度を装いながら、
必死にアイホンFacebookを開こうとする左手を右手で抑える私。
「ダメだ、それだけはダメだ! Facebookを開いたら、それは終わりのはじまり!」

しかし奮闘むなしく、
「いいや、もうアプリ起動するね!」
と左の親指が禁断のアイコンをタップしようとしたその瞬間、
「皆様、前の方にお集まりください〜」
突如イベントが始まったのです。
みんながスクリーンに集中する=交流が一旦中断=著しく私に不利であった形成がここでリセット=時は来たれり。

私も早速両腕を組んで「ふむふむ、なになに」と、ついさっきまで楽しく交流していたかのような余韻を装ってスクリーンへ超集中。
イベントが終わったらば、さっきの暗黒時間の存在を微塵も感じさせない絶妙なポジショニングで再度交流に参加。
「我、九死に一生を得たり」
頑張ってなんとか最後まで辿り着いたのでした。

人と交流するとは、なんと困難なことか。
得るものは確かに多いが、一歩でも間違えればそこれはぼっち地獄という諸刃の剣。
恐るべし、交流会。

もうこの際、昨夜知り合えた人たちを「ずっ友」認定し、No More 交流を標榜することで二度とこの恐ろしい門戸をくぐることのない平穏な人生を歩めはしないだろうか……。
そんなことを思いながら、家路へついたのでした。

それでは明日もよろしくお願い致します。

トモダチ

トモダチ