10月10日の日報 胃カメラ OF DEAD

お疲れ様です。伊藤です。
昨夜は作業椅子の上で丸まって、子犬のようにかわいく寝落ちしておりました。
なので遅れて日報を提出いたします。

「どこか身体で気になるところはありますか?」
「うーん、強いて言えば鼻炎ですかねぇ」
「鼻炎なんてどうでもいいんだよ!」
と、衝撃的な医師との審問で幕を開けた健康診断でございました。

「俺がどれだけ鼻炎か知らないくせに! 電気起こせるくらいの勢いで鼻水でるんだぞ!」
ぷんぷんしながら促されたベッドに横になると、その医師が
「麻酔でアレルギー出たことありますか?」
と尋ねてきました。
ぷんぷんは霧散霧消し、今度は緊張が走ります。
「き、来た……全身麻酔!」

しかも、予想外だったのが、麻酔って点滴みたいにして打つのですね。
私は注射が超苦手でして(痛いのは構わないが、針が刺さっているのを見ていられない)、針がブッ刺さってる状態がしばらく続くかと思うと、麻酔など要らずに勝手に気絶しそうです。

「はい、少しずつボーっとしますからね〜」
の声が聞こえたときには、私の目前にはなぜかゴッホの『種をまく人』のような抽象的な田園風景が広がっており、おだやかな陽だまりに包まれる感覚で意識を無くしたのでありました。

麻酔って凄い!
次に目を覚ましたら別の病室のベッドの上。
素で
「こ、ここは……?」
とマンガの主人公みたいな中二的台詞が口を衝く寸前でした。
胃カメラや採血も、寝ている最中に終わった模様。
ただし、
もの凄いフラフラする、というか、頭が働かないというか、泥酔に似た状態です。
全身麻酔したら、半日は使い物にならない」
とは同僚より聞いてはいましたが、
「松岡修造ならそこを気合いで乗り切るだろうね、修造にできて俺にできないわけがない」
と、根拠無き自信に満ち溢れていただけに、ベッドから立った瞬間にアホの坂田のようにヨッヨッヨッとよろめいた時はさすがに自分で笑いました。

すると、すぐ医師がやってきました。
「はい、じゃあ終わったので〜。
あ、胃の中ね、すごく綺麗でしたよ、よかったね。はい、コレ」
切り込みが入ってシールになってさえいればそのままプリクラ帳に貼れるんじゃないかって感じのプリントを渡してきました。
我が胃の中の写真4カット分でした。

「こんなん貰ってどうせいっちゅーの!」
普段ならその場で床に叩きつけるかもしれませんが、麻酔が残って意識朦朧としている私は
「はぁ」
と間抜けな返事でプリントを受け取り、リュックの中に仕舞いました。
まだ、リュックの中にあります。
これ、マジでどうしたらいいかわかりません。

病院を出てから酩酊状態……むしろ、リアルにゾンビな歩き方で駅へ向かっていると、やさしげなOL風おばさんに
「大丈夫ですか?」
と声をかけられました。
「かゆ、うま」
と答え、これは単なる麻酔の後遺症であることを告げると、彼女は判然としない様子のまま去り、そこから私もピンボールのようにビルの壁→ガードレール→自動販売機とジグザグにぶつかりながら駅へ辿り着いたとさ。

胃カメラの「オエ」は一切無かったとはいえ、この麻酔の威力はいささかキッツいです。
意識失う直前のゴッホは快感だったけれども。

断食解禁となったその晩は、居酒屋で「ふぐのひれ酒」に舌鼓を打ちました。

それでは本日もよろしくお願いいたします。

ゴッホ全油彩画 25周年

ゴッホ全油彩画 25周年