1月10日の日報 オトコの飯

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼いたします。

オムライス。
ふわふわの玉子につつまれた、ほくほくのケチャップライス。
かわいいデコレーションの役目もあるケチャップ、もしくはたっぷりかかったデミグラスソース。(あなたはどっち?)
最近は、ホワイトソースなど色々なバリエーションも豊富になるなど、その人気はとどまることを知らない。
ポムの樹」(オムライスメインのお店、あちこちにある)で見られる人の列を見よ、世界はオムライスを求めているのだ。

オムライス。
しかし、その発展が進めば進むほど、見た目(と、とりまく周囲のデザイン)が限りなくゆるふわ系へと進化してしまったがために、女子による女子のための女子の料理というポジションにすっかり落ち着いてしまった。
それはそれで構わないのだが、問題はオムライスが大好きな男子だって当然多い、という厳然たる事実である。

「オムライスが好きで好きで好きが止まらない」と男子が公言するということは、果たしてそのうら若き男子にとってプラスに働くか否か。
ひょっとして、女子どもに「男のくせにオムライスはないわw」と陰で笑われるのではないか。
男子が、間違えて女性専用車両に乗ってしまった時のような、容赦ない冷ややかな視線を滝の如く浴びてしまうのだろうか。

好きなものを好きと公にできない辛さを、なぜ男子だけが味わわないといけないのか。
不公平である。
世知辛い世の中である。
中学生の、付き合ってるのか付き合ってないのかよくわからない宙ぶらりんカップルが初めてのデートに行ったとして、デパートにあるゲーセンでひとしきり遊んだ後、男子が「オムライスを食べたいんだけどな…」と内心思っていても、初デートでオムライスなぞ食べようものならカノジョにこけにされた挙げ句、この宙ぶらりんとはいえデートまでこじつけた2人の関係が温泉卵の黄身のようにトロリと溶け去ってしまうやもしれぬ。
そんな女子の機嫌取りを優先して、食べたいオムライスも食べれない。そんな馬鹿な話があるか。

私はここに、
男子がオムライス好きだということを胸を張って世に主張するための徒党、男子オムライス解放戦線、
通称『Hommeライス党』(Homme=オム、フランス語で「男性」、訳して「オトコの飯」)の立ち上げを宣言するものである。
男子よ立て、立てよ男子!
Homme!
ライス!


…ということを、
友人が「今度、西麻布に美味しいオムライス食べに行きましょうよ」と誘ってくれたのがきっかけで、悶々と考えていました。

なので、「初デートでオムライスは有りか、無しか」みたいなことを、ちょいとTwitterで……ちょっとですよ? ちょっとだけ書いてみたのです。
すると、私がTwitterを始めてから、過去最高の反響があるではありませんか。

「オムライス、いいと思いますよ!」

なんと、女子は男子にオムライス屋さんに連れて行かれても、腹を立てないのである。
それだけではない。

「私もオムライス大好き!」
「オムライスってほっこりするよね!」
「俺、今日のランチはオムライス!」
「なんだかオムライス!」

「オムライス!」
「オムライス!」

オ〜ム〜ラ〜イ〜ス〜(ドラえもん風に)
空前のオムライスコールが私のTwitterのタイムラインを埋め尽くす。まさしく、オムライス記念日。

みんな、オムライスが大好物であり、それはもはや女子男子という閉鎖的なくくりを優に飛び越えた、人類の叡智ともいえる世界最大の発明とまで認知されていたのだ。

「みんな…」
世の中、捨てたものではない。
私のオムライス問題は杞憂であった。
Hommeライス党の結成は徒労であった。
オムライス、それは世界をひとつに結ぶ素敵なカルチャー。平和を運ぶ玉子の天使。
この素晴らしい発見に、私のハートはふわっふわの玉子のごとくぷるぷる震えた。


そういえば、
そのオムライスツイートの嵐の中で、
私は兼ねてからの質問を、ついでだから皆に問いてみようとチラッと書いたのだった。

「ところで、オムライスの中身がケチャップライスの時と、白いごはんの時がありますが、あれは何で違うのでしょうか」

ところが、
あれだけ「オムライス、いいと思います!」と叫んでいた群衆が、しかしこれに関しては一切返事をよこさない。
返事をしないどころか、100%スルーして「オムライス大好き!」と、話を元に戻そうとする。

裏でクチを合わせたかの如き黙殺。
ケチャップライスと白いご飯の違い、私はここになにか陰謀を感じる。X-FILEを感じる。
この問題について、私は今後追いかけていく所存である。
もしかしたら、伝説のムー大陸の謎解明につなが……おや? 誰かやってきたぞ誰だろうこんな時間に。

それでは明日もよろしくお願いいたします。