12月17日の日報 それは愛でる指先 の巻

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼致します。

昨日16日は、衆議院議員選挙でした。
皆様は投票にいかれましたでしょうか。

私は東京都内某所にて投票を済ませましたが、
最後、国民審査&都知事選の投票用紙を箱に入れる際に未練たらたらな念を抱いており、なんならいっそのこと、ハイパースローモーションで投票箱に紙を入れることで、この至福の時を少しでも先延ばしにできないだろうか、などと真剣に考えておりました。

なにが至福の時だったのか。
それは、あの「投票用紙の書き心地」なのです。
投票に行かれた方で、私と同じことを考えている人は必ずや相当数いるに違いないでしょう。
現に、あの篠原ともえ a.k.a シノラー氏も、Twitterにて「選挙投票用紙と鉛筆のフィット感があまりに絶妙。。!」と感嘆の声を漏らしており、昨夜、ネット上でちょっとした話題になっておりました。
ちなみに、シノラーさんが通った高校は、私の高校の目と鼻の先にあります。(自慢)

よくよく考えてみれば、
過去の選挙時にもあの素晴らしい書き心地を味わっているにも関わらず、数年経った頃にはすっかりその感動体験を忘れてしまい、その後選挙が行われるたびに
「な、なんじゃこりゃあ!」
と、果てしなく立候補者名を書き続けられるであろうその摩擦抵抗ゼロの地平線をスラスラと滑り続ける己の右手に熱いなにかを覚えるのです。

音もなくスムーズに、鉛筆の先がワルツを踊るかのように紙の上を艶やかに滑っていくあの感覚。
つい立てに挟まれた自分だけの空間に宇宙を感じ、うっとりと目を閉じながら
「このままいつまでも書き続けていたい、そう永遠(とわ)に……」
と呟いた刹那、
フと我に返れば、手元に置かれた小さな紙片は既にひとりの立候補者の名前で埋まっている。
投票する人を選び、その氏名を書き込んだのであれば、速やかに投票箱に用紙を入れ、立ち去らなくてはいけない。
小選挙区に投票したなら、次は比例区、そして都知事選……
どれもアッという間に書き終わってしまう。

「おのれ、どいつもこいつも名前が漢字3〜5文字程度では短過ぎる、我が幸福はまるで砂のように指の隙間からこぼれ落ちていくではないか!
誰か、パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・フアン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・シブリアーノ・センティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソみたいな名前の立候補者がいたのなら、そいつの政策なぞ一切関係なし、無条件で投票しよう。
そう、その名前の長さこそが『国民にたっぷりと投票用紙に文字を書かせてあげます』というマニフェストそのものである!」

それでは、最高裁判所裁判官の適性を判断する国民審査はどうでしょう。
記入された各人の名前の上に「×」を書くだけの簡単なお仕事。
しかし、その事前の説明不足ゆえに『わかりづらい』と評判の国民審査である。
「え〜、これって何ですかぁ? ニッポ、わかんな〜い(^q^)」
と阿呆を装い、いやというほど「×」を繰り返し何度も書き込める!
書いて書いて、書きまくる! ×××!
おぉ、神よ!
1秒でも長く私にこの投票用紙の書き心地を味わわせたまへ!


って、国民審査の紙だけ普通の紙じゃねーかよ!

危うく狭い会場内で怒声をあげ、逆に私がスタッフから審査を喰らう羽目になるところでした。

ヘヴンの終焉への怒りに身を震わせながら会場を後にしても、あの夢の書き心地を私の指が覚えている。
フと思い立ち、そっと自分の唇に触れてみる。
そうか、
あれは、キッスの書き心地……。


ところで、シノラーさんも調べてくれていましたが、あの紙種は「ユポ紙」というものです。
私が昔に印刷関連のバイトをしていた時にも取り扱ったことがありますが、あの独特の滑らかな手触り……そう、言うなれば「湯上がりたまご肌」に言い得ぬ興奮を覚える者多数。
たまに大判ポスターなどで使うくらいで、滅多に出番のない紙種でしたが、それ故にまれにユポ紙に触ることがあろうものなら、まるで初めてのカノジョと夏休み花火大会を観に行った帰り、電車の駅で予想以上の混雑に出くわし、はぐれないようにと咄嗟に握った彼女の手の平の感触を忘れないように、その晩はずっと右手を庇うように過ごしたあの夜(仮説)と同じNIGHTでした。

ちなみに、そのユポ紙と完璧なシンクロ率を見せてくれたあの鉛筆。
その秘訣は、固さにあり。
選挙で使われる鉛筆は「2B」を使用するのだそう。
(持参したMyペンを使うことも可)

「選挙の投票用紙の記入はなぜ鉛筆で行うのか」
http://www.garbagenews.net/archives/1452548.html

「B」でもなければ「3B」でもない。
ありとあらゆる試練に耐え抜き、栄えある「選挙で使われる鉛筆」の座を勝ち抜いたのが「2B」である。

その適合性たるや、ユポ紙との……
ハーモニー?
ケミストリー?

いいや、

ディスティニーである。

あの日、俺たちの指は、
確かに「運命(ディスティニー)」を握りしめていたんだ。

それでは明日も宜しくお願い致します。


三菱鉛筆 鉛筆 ユニ 2B 1ダース U2B

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