12月14日の日報 武士道とは死ぬことと見つけたり の巻

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼いたします。

今日、12月14日は、赤穂浪士吉良上野介の屋敷に討ち入り、その首を穫った日です。
いわゆる「忠臣蔵」です。

200年以上に渡って連綿と語り継がれるこの国民的逸話、毎年このシーズンになるとTVや映画などで放映されるわけですが、実は私は今まで「忠臣蔵」を観たことがなく、その話や背景などもなんとなくでしか知りませんでした。
かくいう今日も、恐らくリアルタイムでTVだったりを観ることもないのですが……。

理由があるわけでもなく、ただぼんやりと
「うむ、忠臣蔵ねぇ」
と思っていたのですが、しかし今年になって唐突に「忠臣蔵とはなんぞや?」と気になったので、あれこれと調べてみました。

事件のあらましについて大体は把握したものの、
忠臣蔵」とタイトルを冠した作品(映像)を観たことがないものですから、まだ「忠臣蔵」を嗜んだとはいえません。
今度、暇をみつけて何か観てみようと思うのですが、どれがよいのでしょうか。
「いわゆる決定版! これが忠臣蔵の金字塔!」
みたいな作品があれば、是非教えていただきたい。


ところで、
赤穂浪士討入り事件について調べていくうちに、そのままあれよあれよと昔の日本(主に江戸時代)における色々な事件についても調べている自分がおりました。
これがインターネッツの怖いところですが、アッという間に、それこそ2時間くらい簡単に経ってしまったわけで、日本史、侮れん。

そんでもって、色々な事件に関する文献を読み漁っていくうちに、あることに気付きました。
それは、当時の日本人の「切腹」の頻度です。
もう、とにかく、みんな切腹しまくっている。
冗談抜きに、なにがあるとすぐに腹を切る。
「え、そんなにスグに切っちゃうの!?」
と驚きました。

自分の家族・知人が悪事を働いたから腹を切る、
俺がある人を殺したから自分も腹を切る、
忠義に欠いたから腹を切る、
仕えた主が死んだから後を追って腹を切る……
今の時代では考えられないほど切腹の判断基準がシビアです。
(犯した罪の清算=処刑として敢行された切腹もあるそうです)

私、つい先日に「さや侍松本人志監督)」という映画を観ましたが、そのストーリーにも『切腹』というキーワードが組み込まれておりました。
その他、ちょっとハードコアな時代劇系の小説や漫画でも、よく切腹するしないという話が出て来ますが、当時におけるその頻度を知って、改めて日本人という民族の特異さを思い知ったのです。
(もちろん日本だけの慣習です)

武士など特定の階級に属する人間に課せられた慣習とはいえ、彼らは常日頃、いつ自分に切腹の命がくだってもおかしくない人生を送っていたわけで、想像を絶するストレス(のようなもの)があったのではないでしょうか。
それとも死が怖くなかったのでしょうか?
……あり得るかもしれません。
「昔の人々の暮らし」ってのを想像するときに、根本的に思想構造からして違う、というのはきっとあるはずです。
いわゆる武士道というやつでしょうか。

切腹 -Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%87%E8%85%B9

切腹行為の歴史を見てみると、平安に始まり、明治に禁止されたという説がありますが、とくに戦国時代から「切腹は武士の名誉である」という概念が広まったそうです。
つまり、当時の武士は本当に死を恐れず、プライドのために腹を切っていたのでしょう。
プライドのために……と言ったって、死んで自分のいない世界のためにプライドを誇示するとは、よっぽどのことに聞こえます。
でも、それだけ責任感があった、もっと言えば己の命よりも周りの人々を大事にする感覚があったのかもしれません。
「武士以下の階級の人間(庶民)には切腹は許されなかった」というルールにも、死を神聖化する趣が垣間見える気がします。

記録上、日本最後の切腹は明治3年、小倉富三郎と新居水竹の2人に明治幕府が命じたものだそうです。
実際はその後も(例えば戦時中の軍人)切腹した人は多いです。現代でいえば三島由紀夫がいますが、法で禁じられた以降の切腹を正式な作法とみなすとどうかについては諸説あるそうです。

そんなこんなで、
華の金曜夜になにが悲しくて切腹について長々と書かなくてはいけないのか、自分でもさっぱり分からないのですが、
忠臣蔵」にはじまり、日本人の『責任感』は、世界共通で論じられるそれとはまたちょっと違った性質があるような、そしてそれを端的に表すのが日本史における切腹なのかな〜、なんて考えておりました。
もしかしたら、現代で年間30000人を数える自殺者の思考を読み解く一因になるのでしょうか。


と、ここまで書いておきながら、
しかし私は切腹行為をくだらないと評することもなければ賞賛するつもりもないのです。

じつに価値観にまつわる話題なので、どう受け止めるかは個々におまかせするとして、
例えば、もし
「伊藤日報之助、お主に切腹を命ずる!」
なんてお殿様に言われても、
「今はもう21世紀ですよーだ、ぷっぷくぷー!」
と尻出して逃げ回る覚悟ならございます。

それでは良い週末をお過ごしください。

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