11月8日の日報

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼いたします。

今朝「う〜ん」と唸りつつ、泣く泣くベッドから身体を引き剥がそうとする中で、私の頭は別のことを考えていました。

「そういえば、ビジュアル系バンド(以下、V系)が書くブログって、どんな内容なんだろう?」

ビジュアル系といえば、やはりゴシック調でファンタジー感溢れる非現実的な風貌。
そしてその世界観を表す音楽性…歌詞であったり、全体的なブランディングであったり。
様々な要素を包括して1つのジャンルとして成り立っているだけに、ブログの内容でも

(」o^∀^)」コンチワァァァァァァァァ

などと書いて繊細なブランディングを壊すことはあってはならないはず。

私がV系ミュージシャンだったら、恐らく日報は

「聖戦ジハードの戦火にて傷を負いし悠久のドラゴンナイトたちに天空の癒しあれ、伊藤です。
ミユ・ダイナースの暦においてガイアがフロタスと重なりし時空の狭間にて、時(マナ)を越えし我、ヴァニアーシュせんとする」

※訳
お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼いたします。

となるでしょう。
書いてる自分でもかなりヴァニアーシュです。
果たして、V系バンドの人たちはこんなファンタジーなブログを書いているのでしょうか!?
不思議に思った私は、早速調べてみることに。

とはいえ私は『V系ディルアングレイ』で情報がストップしている世代なので、最近のV系にはどんなバンドがいるか……を最初に知る必要があります。
いくつか思い当たるキーワードでググっているうちに、
V系専門雑誌」
があることを知り、その中でも有名な雑誌、"フールズメイト"の存在を知りました。

どんなジャンルにだって専門的な雑誌が存在することは容易に想像がつきます。
はて、V系雑誌とはどんなものだろう!
興味を抱いて公式サイトを覗いてみました。

http://www.fools-mate.co.jp/pc/

ページを開くと、すぐに「本誌読者の皆さまへ」というバナーが目に飛び込んでくるので、なんだなんだ? とクリックしてみる。
すると、こんな文章が出て来ました。

http://www.fools-mate.co.jp/pc/info_main.html

1枚の画像なので文書をコピペ出来ないのですが、かいつまんで説明すると、
「デジタル時代の流れを受け、自社メディアも雑誌という形態から変化する必要があると判断し、一旦雑誌の発行は休止して別のメディアでの活動にシフトします」
というものです。

「今まで紙媒体(旧媒体)で展開してきたメディアの前に立ちはだかる、WEBという名の壁」
……こういった図式の話題はもう何年も前から目にしまくっていて若干食傷気味ではあります。
今になっては格段目新しい話でもない。

とはいえ、
この編集長が書かれたメッセージも秀逸で、現状の説明をおもしろい引き合いで書いているので、改めて
「うんうん、なるほどそうだよね〜」
と頷かされました。
それに、一旦落ち着いたように見えたこのテの話題だったから、逆に新鮮に見えたのか。
更に言えば、大手メディアではないインディーズ規模のメディアが、毅然とした態度で自分たちの意志を表明する姿勢にシンパを覚えたのかもしれません。

革命のたびに政権の主体が下方へ移動し、ついには民主主義へ至った政治体制の歴史とまったく同じで、商業音楽は今まさに民主主義的な”自由”を手に入れたと言っても過言ではないでしょう。
しかしその一方で、”自由”であるがゆえに個々の責任感が薄れていくという、同時代音楽の”自由”の運用の危うさに対して、メディアはきちんとした言説をもって答えなければならないという、大きな危惧や氏名を感じています

いや、あの、これは全く以てお恥ずかしい話ですが、
V系のブログとかいってどんな内容なんだろw」
に端を発したフザけたジャーニーにて、こんな高い意識を持った文書に触れてしまい、私は驚きました。
まぁ、彼らがなにか斬新な解決策を提示してるわけでもなく、むしろ悩んでいますと白状しているわけですが。

なんでしょう、音楽に限らず「制作」を生業にしている人たち全員が持っているであろうジレンマや不安……とない交ぜになった希望みたいなのを、こうして素直に吐露しているメディアに出会えて共感を持てました。

インディーズから、サブカルから、アングラから声をあげる蜂起。
「インターネットによって全てが『同人』へと回帰していく」
とは私も予々考えていることですが、
この意識が消費者側にも伝わって浸透した時、世界は本当に変わるのかもしれません。

メディアの在り方はどこにあるのか。
評論なのか、編集なのか、記録なのか、補完なのか…、様々な優位性がたとえ思いつくとしても、その具現化の方法やその意味やその意義を、同時代のリアルな視点から本当に真剣に考えるべき時が、今、来ているのではないかと思うのです。

ヘラヘラした態度で
(」o^∀^)」コンチワァァァァァァァァ
とか言っていたら、
真面目な人に横ッツラを「スッパァーン!」と引っ叩かれて呆然としている。
まさにそんな気分。

それでは明日も宜しくお願いいたします。

ちなみに、ちらほらV系ブログを見てみましたが、みなさん元気いっぱい&マジメに書かれていて爽やかでした。
これがGAP(ギャップ)というやつか!