10月28日の日報 深夜対面

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼いたします。

自転車に乗って夜道を家路についておりましたら、道の向こうに怪しげな人影がひとつ。
なんだか、えっちらおっちら、歩き方が妙である。
時間が時間だけに(午前5時)、これがわりと本気で怖かったりします。

「ゾンビきたこれ」
と思えなくもないほど、尋常でない動きをする黒いシルエットですが、近付いたらなんてことはない、
おじいちゃんでした。
後ろ向きで歩いてる、おじいちゃんでした。

ジャージを着ていたので、エクササイズの一環なのでしょうか。
「早朝マラソン」ならぬ「早朝逆走」。
後ろ向きで歩くことのどこが健康にいいのかわかりませんが、しかしまぁゾンビでなくて良かった。世界規模で発症した謎の感染病によってゾンビとなったおじいちゃんに噛まれたはずが、なぜか自分だけ感染しない不思議、しかしそれは数万人に1人しかいない抗体をもった新人種だったからなのだ、そして今、人類の運命は私に託されなくてあ〜よかった。

「まぁたしかに午前5時くらいじゃなきゃ、堂々と後ろ向きで公道を歩けないよな、わからなくもない、その後ろ向きな気持ち」
私とおじいちゃんは同じ方向へ進んでおりましたので、私が彼を自転車で追い越す格好になります。
しかし、後ろ向きで歩いているおじいちゃんの向きは私の方で、とどのつまり「対面」状態。徐々に近付き、やがて追い越すまでの間、どんな顔をすればいいかわからないの状態。
とりあえずガン無視決め込んでみたものの、追い越す瞬間の心臓バクバクは凄かったです。なぜ緊張したのかわからんけど。
すっごい彼を観察したい衝動を抑え込み、ギュ!とハンドルを握りしめて立ち漕ぎでスピードUP。おじいちゃんを闇に残して流星の如く走り抜きました。
なんでしょう、この謎かつ無駄な疲労感は。

後ろ向きで歩いている人を追い越すというのは、とても勇気がいることなんだ

なぁ

それでは明日もよろしくお願い致します。