11月20日の日報 こんなお家に住めたなら の巻

お疲れ様です。伊藤です。
本日はこれにて失礼いたします。

衣食住。聞き慣れた言葉ですね。
私はどちらかといえば、衣も食も人並に気にかける性格ですが、
住に関してはまったくの無頓着でした。

今までいくつかの住まいを移って来ましたが、どれも「ボロボロでなければいいや」という感じで、たいしたこだわりもないまま物件を選んでおりました。
めちゃくちゃ汚かったり、あまりに高額な部屋はさすがにアレですが、そんなに広くなくてもいいし、ユニットバスでも気にならない。デザイナー物件なんぞ全く食指が動かないわけです。

ところが、ここ最近やたらと「住まい」について私のアンテナが反応するのです。
ブログの記事、雑誌の特集、街の景色など。
そうなる心当たりがないので不思議なのですが、とにかく気付けば「家」についてあれこれ知りたがっている自分がいます。

「これが三十路の余裕というやつか」
そう勝手に思い込んでダンディズムに浸っているわけですが、いやはや、家といっても実に様々なスタイルがあるものですから、見ていて飽きません。

古い家のリノベーションもいいし、
オリジナリティ溢れるデザインも素敵。
景色など周辺環境をうまく利用したアイデアで「うまい!」と唸らせられる家だってありました。

そんな中で、こんな家を見つけました。

http://greenz.jp/2012/11/12/kofunaki_house/

滋賀県にある「小舟木の家」と名付けられたこの家は、

住まいを完全に内と外に区切って考えるのではなく、もっと内と外が緩やかにつながり、常に森を感じられる空間を造りだすことで、自然を感じ、四季を楽しむ

というコンセプトに基づいて作られたデザイン。

なるほど、とても開放感溢れるデザイン。
「吹き抜けがある」
「あまり壁で区切らない」
「家族の気配を常に感じられる」
こういった住まいの本質を突くようなスタイル、いいな〜、とうっとりしてしまいます。
「いつか東京から離れて、こんなお家に住めたなら!」

……

しかし、次にフと不安がよぎるのです。
果たして、この家に私は住めるのだろうか? と。

私は、兼ねてから自分の家を建てる際は、必ず自分の書斎を作りたいと考えています。
つまり『自分専用の部屋』です。

書斎と書けば本がズラッと並ぶイメージですが、確かに本もいっぱい置くでしょうが、この小部屋の真の目的は「誰にも害されない、自分だけの時間を確保する」なのです。
それこそ、家族ですら立ち入り禁止である。

ひとりっこ故の性格なのか、私にとって四六時中誰かと空間を共有することはきっと苦痛でしょう。引きこもるわけではないにしても、
「なんだか一人で、暗がりの隅でもそもそやっている」
昨日の日報に書いた『日曜日の晩』と同じような安堵を、私はそこに感じるのです。

こうなると、上述で紹介したような家のコンセプトの対極をいってしまうわけで、自分でも非常に心苦しい。
それに、家族にしたってあまりいい思いをしないであろうことは自明の理です。

しかし!
それでも私は書斎が欲しい!

私しか持たない鍵を取り付けて、何人も入ることの許されないエデンが欲しい!

そして、いつか息子が生まれたら、子が3歳になる頃に
「ちょっとエジプトに行ってくる」と言い残したまま、消息不明になるのだ!

謎の失踪を遂げた父親!
そして、誰にも開けることが出来ない父の書斎!

しかし、息子の誕生日には必ず父から絵葉書が届くのだ!
消印は毎年違う国、世界のあちらこちらから!

なにか知っているのか、と問い詰めても顔を伏せて黙り込む母親!

そして!
息子が16歳になった日!
絵葉書ではなく、ボロボロの小包がグアテマラから届く!
その小包の中にはただ1つ、鍵が入っているのみ!

ピンときた息子は、さっそくその鍵を使って父の書斎へ入る! すると!
壁一面を埋めるおびただしい数の書籍!
そして、反対の壁に貼られた大きな世界地図! 地図には新聞の切り抜きや謎めいたメモがピンでたくさん留められている!

埃が舞う暗い部屋に差し込む陽光が、ちょうど本棚のある一冊を照らしている!
背文字には『キラキラHair』の文字!

古文書や学術書しかない書棚において唯一、bitchな雰囲気を醸し出しているこの雑誌を不思議に思った息子が、『キラキラhair』を取り出そうと背表紙を引き抜くと!

ガコン!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………


以下省略。


なので私は、秘密の書斎が何としてでも必要なのです。
もちろん、海外を飛び回るフリをして私は東京のコワーキングスペースを転々としながら普通に仕事を続ける日々。
世界地図にピン留めした行き先のヒントも、全てブービートラップです。しめしめ。
どうだい、男のロマンだと思わないかね?
しかし
「失うものが大き過ぎる、やめておけ」
そんな声が聞こえて来そうです。

だが、私は欲張りである。
夢は叶えるためにあるのだ!(牧瀬里穂

ドリ!(カム!)
ドリ!(カム!)

そこで私が提案するのは
「オーガニックで開放感溢れる素敵な家」と、
ハリーポッター 暗黒の扉」、
この2つの要素を併せ持ったアイデアである。


こんな感じ。
開放感たっぷり空間に潜むミステリアスな影…
我ながらエキゾチックなアイデアである。
これからの住まいに必要なのは、家族との絆や癒しの時間ではない、エキゾチックなのだと、今、心で理解しました。

それでは明日も宜しくお願い致します。